芹澤研究室では、「環境に優しい方法で、多機能性次世代材料を創製する」をコンセプトとし、ミクロ組織を原子レベルで制御・設計することで高機能化を図る新しいものづくりを進めています。例えば、アルミニウム・マグネシウム合金などの軽量金属材料を自動車用材料として使用するための合金設計や、多機能性を有する材料表面の設計や改質など、従来材料よりも優れた特性をもつ新規材料の創製、カーボンニュートラルの実現に貢献しうる超低環境負荷なものづくり技術の開発に取り組んでいます。
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水蒸気プロセスを利用したアルミニウム合金の多機能化
水蒸気プロセスは、アルミニウム合金を中低温・高圧の水蒸気雰囲気下で処理することで、表面に水酸化物皮膜を均一に形成させ、耐食性を大幅に向上させるとともに、水酸化物の形成に伴う原子拡散や原子の分配を利用した組織制御も行う新技術です。芹澤研究室では、水蒸気プロセスを用いてアルミニウム合金を目的に合わせて多機能化させる技術開発を行っています。
計算科学を活用した機能発現原理の解明
アルミニウム合金中に形成される溶質原子の集合体(ナノクラスタ)や析出物を対象として、第一原理計算や分子動力学法といった計算科学的手法を用いて、転位との相互作用や相の安定性について解析しています。材料中で繰り広げられる多様な現象を、原子レベルで明らかにすることを目指しています。
組織制御を活用した軽金属材料の多機能化
金属材料は、原子の配列や添加される元素の違いにより生じる多様なミクロ組織を有しています。芹澤研究室では、熱処理や加工を含む組成制御技術よってアルミニウムやマグネシウム合金のミクロ組織を制御し、強度や延性などの特性を向上させることで、適用範囲の拡大を目指しています。
結晶成長制御による次世代電池材料の開発
加圧水熱合成法や溶融塩を用いたフラックス法などを活用し、従来より低温で作製でき、かつ、優れた特性を発揮する結晶の作製に取り組んでいます。結晶構造や成長速度を制御することで、燃料電池や工業的な水電解に応用できる様々な触媒材料の新規開発および特性の向上を図っています。